経済とマネーリテラシーについて深く考える(5)

2019-05-24

【ふるさとの破壊】

今日は、日本経済の特徴を知る一つの例として、
オリンピックの開催回数について考えてみます。

東京都は2016年のオリンピック誘致に失敗しましたが、
来年、2020年には開催が決定しています。

これが実現すると1964年~2020年までの56年間に、
29回行われる夏と冬のオリンピックのうち、
東京、札幌、長野、東京と、
4回も日本で開催することになります。

世界には196ヵ国も国があるのに、
なぜ日本でそんなに何度も
オリンピックを開催できるのでしょうか?

日本がどれだけ小さな国かは
世界地図を見ればわかります。

日本は世界の陸地面積の
たった300分の1しかありません。

そんな小さな島国である日本で、
なぜ何度もオリンピックを開催できるのか?

その答えの一つは、日本は土建大国だからです。
山を削り、海を埋め立て、森林を破壊し、川をせき止めて
ダムを作ったり、川をコンクリートで固めたり…

はたまた畑を自動車道路や駐車場にする…
これは、ふるさとの破壊であり生存基盤の破壊です。

「開発」は「破壊」となり、
「町おこし」は「町つぶし」となり、
「村おこし」は「村つぶし」となったのです。

1970年代の田中政権の「列島改造」以来、
この国は巨大公共投資を国策、国是として強力に推進してきました。

また公共投資基本計画という、
1995年~2007年までの13年間で、
総額にして630兆円もの莫大な費用を公共事業に費やし、
経済成長と経済の空洞化を生み出してきました。

同時に食糧政策の失敗、環境政策の失敗、
福祉や医療政策の失敗を招きました。

結果として、

・洪水の可能性のない川も護岸工事
・小川も護岸工事、海水浴場まで護岸工事
・田んぼのアゼ道も舗装道路とガードレール
・無人島にまで舗装道路や立派な橋
・全国の畑を減反しながら農地のための干潟の埋立
・必要性が説明できない河口堰きやダムの建設
・同じ場所を掘っては埋め、掘っては埋め

と、数え上げればキリがありません。

日本は今でも、他国では考えられない
税金の無駄を続けているのです。

日本以外の先進国では、
環境アセスメント(環境影響評価法)があり、
日本で行なっているダム、河口堰き、干潟の埋立など、
そのような巨大開発は殆ど行えません。

護岸工事や砂防ダムなどの工法も、
従来の日本の自然破壊型の工事は禁止され、
自然を維持できる自然工法、近自然工法と
呼ばれるものに変わっています。

日本の現状は、他国とは大きく違っているのです。

今でも国はオリンピック、万国博覧会、高速道路、新幹線の推進、
地域では空港、テーマパーク、護岸工事、原発、 庁舎の新築、
道路工事などを名目に

「お金が欲しい」

ということなのです。

日本にも環境アセスメントができましたが、
市民参加が不十分、代替案が義務付けられていないなどで、
ザル法(抜け穴が多いので規制の目的を果たせない法律のこと)
と呼ばれています。

日本は、地方財政の圧迫で公共事業は減ってきていますが、
列島改造、高度経済成長という過去の路線から基本的
に抜け出せていないのです。

それによって失われたものがあります。
(何ごとにも両面があります)

一見、便利で快適、進歩・発展に思えたことでも、
必ずそれによって失われたものや犠牲になったものがあります。

そして長い目で見ると、
明らかに失敗だったものが少なくありません。

40年前の生活を思い出してください。
GNP(国民総生産)は、今の20分の1でしたが
家族団らんがありました。

小川にはメダカやカニ、ホタルがいました。
川の水は綺麗で泳ぐこともできました。
山に行けば山菜や木の実、果物もありましたし、
カブトムシもクワガタもいました。

海岸に行けば、どこでも泳げましたし、
魚も釣れて貝も採れました。

現在は、川や海の護岸工事に山林の開発で、
その殆どが失われました。

国はいったい何のために、そうした事を行ってきたのでしょうか?
国や企業は「洪水がなくなった」と言いますが本当でしょうか?

もう誰もが「そうではない」と感じているはずです。
自然の豊かさや、心の豊かさを失ってしまったのです。

これらを全部「お金」に代えてしまったのです。

ふる里をお金のために売り飛ばし、
ふる里をお金のために破壊してしまったのです。