経済とマネーリテラシーについて深く考える(8)

2019-05-29

【最後は必ず破綻する】

昨日ご覧いただいた
「先進国の蓄財と途上国の債務表」をもう一度ご覧ください。

こちらのグラフで、1990年以降
(a)も(b)も飽和しているのはなぜでしょう。

まず途上国の累積債務が拡大し続け、
ついには返済不能になったのです。

アルゼンチンの破産、ブラジルの破産と言われるもので、
いくつかの途上国が返済不能に陥り、破産宣告をしました。

(b)は途上国の破産が始まったことを示しています。
まだ完全破産ではなく、
一部破産(返済の減額や返済期限の延長など)です。

その結果、(a)は先進国の累積債権(貸金)が
頭打ちになったことを示しています。

この一部破産は、まだ途上国の累積債務全体の1割ぐらいですが、
問題は残り9割も返済の見通しが立たないことなのです。

途上国が借金を返済できないということは、
先進国の貯蓄が「消滅」することを意味しているのです。

「貯金があるから安心」と思っているかもしれませんが、
それはCMであって事実はそうではありません。

貯金と借金、債権と債務などは所詮、
経済という人間の作り出したマネーゲームのルールであって、
マネーゲームが破綻したときには無意味になるのです。

要は、競馬の馬券のようなものです。

ゲームが終われば、何の意味もなくなり
捨てられて紙吹雪になってしまいます。

よく、
「お金さえあれば何とかなる」
「お金がなければ生きていけない」

と言われますが、
それもCMであって事実はそうではありません。

生きるのに必要なのはお金ではなく
「食べ物、水、空気」であり、自然環境や生存環境なのです。

地球温暖化や異常気象で農作物の大被害が出れば、
食糧の多くを輸入に依存している日本はどうなるでしょう。

原油の高騰、資源の枯渇に対して、
大部分を輸入に依存している日本はどうなるでしょう。

畑や川や森を破壊してお金に替えるのは大きな誤りです。
生存環境を犠牲にして開発や経済を優先するのは
致命的な誤りです。

命とお金とどちらが大事なのでしょうか?

それから、経済は基本的に資源を消費することですから、
経済拡大は資源消費を増やすことです。

事実、私たちの経済は大量生産、大量消費、大量廃棄…
という行き止まりまで来ました。

その結果が環境破壊、環境汚染、資源枯渇です。

経済は基本的に資源と環境を使い果たしたとき
崩壊するのです。

過去の文明も周囲の森林や土地、
水を失ったとき破滅しました。

私たちの文明は、既に最後の時を迎えつつあります。
本気で何か対策を考えないと、このまま終わりを待つだけです。

さて、昨日まで日米首脳会議が行われていましたが、
TPPの問題は今後どうなるのでしょうか。

TPPの発効で、私たちの身近な
家計への影響を考えてみたいと思います。

まず、食品の関税が撤廃。
農林水産物については、82%にあたる品目で
関税が撤廃されるといいます。

ただし、国内農産物の重要5品目と言われる
米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物については
生産者の暮らしを守るため段階的に引き下げられたり、
例外が設けられたりします。

例えば「牛肉」については38.5%の関税が
27.5%に引き下げられ、16年かけて
最終税率は9%になります。

日本の輸入牛肉の約半数がオーストラリア産なので、
既にスーパーなどで値下げされているかもしれません。

焼肉で食べるハラミなどの牛内臓は、
12.8%から6.4%になり、13年目に撤廃されます。

「チーズ」については、日本人の嗜好に合う
モッツアレラ・カマンベールなどのナチュラルチーズや
プロセスチーズなどの加工チーズは
現行関税(29.8%から40%)が維持されます。

一方、チェダー・ゴーダなどの熟成チーズや
クリームチーズは16年かけて関税が撤廃されます。

食の安全について懸念の声が上がっていますが、
残留農薬や食品添加物の基準、遺伝子組み換え
食品などの安全性確認については、
今まで同様に検査・規制が行われます。

食品以外では、締約国間のオンライン取引について
法令が整備されることから、
安心してネットショッピングができるようになることや、

日本で契約した携帯電話を海外で利用する際の
国際ローミング料金の引き下げなども期待されています。

では、TPPでメリットがあるのは
輸出関連の大企業だけなのでしょうか?

TPPではモノの関税が撤廃されたり
引き下げられたりするだけでなく、
サービス・投資なども自由化されます。

海外進出という観点で、日本企業にとっては
規制の緩和や撤廃が進むことは望ましいでしょう。

例えば、ベトナムではTPP発効後5年の猶予の後、
外資規制の緩和が行われることから、
コンビニやスーパーなど小売流通業の進出が
加速することが見込まれます。

日本の流通業者や農産物供給者にとっても、
販路拡大のチャンスになります。

「関税撤廃」と聞くと、自動車会社など輸出産業にだけ
メリットがあるように思われるかもしれませんが、
下請の中小企業にとっても受注拡大と売上増が期待できます。

中小企業に対しては、商談のサポートなどの支援が行なわれます。
電子商取引の促進や税関手続きの迅速化や
簡素化など総合的な環境整備により、
海外展開のハードルが下がるでしょう。

消費者にとっては、食料品の関税が下がって
家計の支出が減ったり、
オンライン取引の環境が整備されて、
国境を越えたネット取引を安心して
できるようになったりするメリットが期待できます。

食費が浮いた分を他の消費に回せば、
経済活動も活発になるかもしれないという
ささやかな希望はありそうですが、、、

しかし、それよりももっと大きな視野で見ると、
先述したように、世界全体の根深い問題が
山積みであるということだけは忘れてはいけません。