日本神話/(7)古事記:天地開闢⑦伊耶那岐命の黄泉の国訪問

伊耶那岐命は妻を忘れきれず、死の国と言われる黄泉の国を訪ねる。

伊耶那岐命が御殿の前に辿り着くと「まだ国作りは終わっていない。愛しい妻よ帰ってきてほしい。」と呼びかけた。

すると中から伊耶那美命が「あぁ残念です。こちらの国の食べ物を食べたからもう帰れません。しかし、ここまで来てくれたのだから黄泉の国の神様に聞いてみます。」と答えた。

そして「待っている間、決して中を覗かないで下さい。」と約束をして奥に帰った。

しかし、あまりにも永い間待たされて不安になった伊耶那岐命は、約束を破り戸を開けて中を覗いてしまったのである。

そこに居たのは腐敗して全身ウジに覆われ、八柱の雷神が憑りついている、見る影もない恐ろしい伊耶那美命の姿であった。

これを見た伊耶那岐命は驚きのあまり音を立ててしまう。

音に気づいた伊耶那美命は「私の言葉を疑い、見せたくない姿まで見られた。それも一番見られたくない愛する人に・・・」

怒った伊耶那美命は伊耶那岐命に黄泉醜女(よもつしこめ)を放つ。

伊耶那岐命は恐ろしくなり、その場を逃げ去ってしまうのである。

伊邪那岐命は迫ってくる追手を追い払うために黒御鬘(読み:くろみかづら 意味:黒い髪飾り)を黄泉醜女に投げつける。

この黒御鬘が蒲子(読み:えびかづらのみ 意味:野ブドウ)になり、これを黄泉醜女が食べている間に逃げた。

しかし、またもや黄泉醜女が迫ってきたので、今度は右の髪に刺してあった櫛の歯を折って投げつける。

すると櫛の歯が筍(読み:たけのこ)に変わり、これを黄泉醜女が引っこ抜き食べている間に逃げた。

次に八柱の雷神が大軍を率いて追って来ると、これを伊耶那岐命は腰に帯びていた十拳剣(読み:とつかのけん)を抜いて後ろ手で振りながら逃げる。

尚も迫る軍勢に黄泉比良坂(読み:よもつひらさか)の麓に生えていた桃の実を三つ投げつけて撃退した。

伊耶那岐命は桃の実に感謝して、この桃に「意富加牟豆美命(おおかむづみのみこと)」と名付けることにした。

最後に伊耶那美命自身が追ってきたが、追いつかれようとしたその時、伊耶那岐命は千引(読み:ちびき)の石いわ(大岩)を持って道を塞ぐ。

二神は大岩を間にして向かい合い、別れの言葉を告げることになる。

伊耶那美命は「私はあなたの国の人々を一日に1000人殺します。」と言ったが、対する伊耶那岐命は「貴女がそのようなことをするなら、私は一日に1500人の子を誕生させよう。」と返した。

これで一日に1000人が死に、一日に1500人が生まれるようになったと言われる。

これは人の生と死の起源とされる話になり、伊耶那美命はこのことによって黄泉津大神(よもつおおかみ)や道敷大神(ちしきのおおかみ)と呼ばれるようになった。

また黄泉比良坂を塞ぐ大きな岩のことを道反之大神(ちがえしのおおかみ)や黄泉の国の出入り口を塞ぐ神という意味の黄泉戸大神(よみどのおおかみ)とも呼ぶ。

黄泉の国(よみのくに)とは
黄泉の国は死者の住むとされる国で黄泉国(よもつくに)とも呼ばれる。
黄泉とは、大和言葉の「ヨミ」に漢語の「黄泉」の字を充てたもので、漢語で「黄泉」は「地下の泉」を意味し、それが転じて地下の死者の国の意味になった。
「日本書紀」の正伝では火の神を生んで伊邪那美命が死ぬ話は記されていないので、黄泉の国訪問もない。

 

これまでの学び

(0)古事記:はじめに

(1)古事記:天地開闢① 天地の始まりと神様の誕生

(2)古事記:天地開闢② 別天津神と神世七代

(3)古事記:天地開闢③ 伊耶那岐命と伊耶那美命の国生みと神生み

(4)古事記:天地開闢④ 伊耶那岐命

(5)古事記:天地開闢⑤ 伊邪那美命

(6)古事記:天地開闢⑥ 伊耶那美命の死と火之迦具土神

本日の課題

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1 個のコメント

  • 伊藤 より:

    愛と憎しみ・怒りといった対極にある感情が、神々(自然の法則・原理原則・仕組み)を生み出しているように感じます。
    産みの苦しみと言いますが、人の生命誕生プロセスもまた、愛情~まぐわい・快楽~出産の痛みがあり、それはあたかも
    神々の誕生のプロセスを踏襲している(同じプロセスに沿っている)ようにも感じます。
    また、文明や科学、新しい技術の発明や開発、新たな価値の創造もまた、同様なのかもしれません。

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