日本神話/(25)古事記:高千穂と神々の闘い④火照命と火遠理命の争い

山幸彦と豊玉毘売(とよたまびめ)が結婚してから、早くも三年程たったある日、山幸彦は自分がこの宮殿に来たいきさつを思い出し、大きくため息をついた。

この山幸彦の様子を見ていた豊玉毘売が何事かと思い綿津見神(わだつみのかみ)に相談した。

綿津見神が山幸彦にどうしたのかと尋ねると、山幸彦は兄海幸彦とのいきさつを話し始めたのであった。

娘婿の悩みを聞いた綿津見神が、早速、海に棲む大小の魚たちを集めて、海幸彦の釣り針を知らないかと尋ねた。

すると魚たちは「赤鯛がのどに何かひっかかって、食事も満足に出来ないで嘆いています」と進言した。

その赤鯛を呼び出して、のどを探ると、失くした海幸彦の釣り針が出てきたので、山幸彦は大いに喜んだ。

山幸彦は見つけ出した海幸彦の釣り針を洗い清めて、さっそく兄の元に向かう事にした。

別れ際に綿津見神から釣り針を返す際の助言をもらった。

その綿津見神の助言とは次のようなものだった。

「海幸彦の釣り針は淤煩鉤(おぼち)、須須鉤(すすち)、貧鉤(まぢち)、宇流鉤(うるち)と言いながら後ろ手で渡す」といったものであり、さらに「兄上が高地に田を作れば、貴方は低地に田を作りなさい。兄上が低地に田を作れば、貴方は高地に作りなさい。さすれば三年で兄上は貧しくなりましょうぞ」と海神は予言した。

続けて「その時に兄上が恨みに思って攻めてきたならば、この潮盈珠(しおみつたま)を使い溺れさせ、過ちを認めて助けを求めて来たならば、この潮乾珠(しおふるたま)を使い兄上を助けてあげなさい」と言って二つの珠を山幸彦に授けたのであった。

そして大きなサメに命じて山幸彦を故郷に送り届けさせた。

山幸彦はサメの背中に乗って一日で故郷の浜辺にたどり着いた。

さっそく兄の元に向かい綿津見神に言われた通りに、後ろ手で釣り針を返した。

すると兄は日ごとに貧しくなっていき、心も荒んでしまい、弟である山幸彦を恨んで攻めて来た。

その後もまさに綿津見神の予言の通りであった。

攻めて来た海幸彦を潮盈珠を使い溺れさせ、過ちを認めて助けを求めて来たので、潮乾珠を使い兄を助けてあげた。

これにこりた海幸彦は屈服し、弟に守護人として従う事を誓ったのであった。

海幸彦
海幸彦(火照命)は、隼人(鹿児島県と宮崎県にわたる薩摩・大隅・日向に住んでいた人々)の阿多君の祖神とされ、朝廷に服属していた隼人達は、服従の誓いを示すため、御前で水に溺れたときの海幸彦を演じる「隼人舞」を演じてきました。隼人は昔から天皇家や朝廷の守護として重要視されてきただけでなく、呪術の面でも優れていたとされます。

 

これまでの学び

(0)古事記:はじめに

(1)古事記:天地開闢① 天地の始まりと神様の誕生

(2)古事記:天地開闢② 別天津神と神世七代

(3)古事記:天地開闢③ 伊耶那岐命と伊耶那美命の国生みと神生み

(4)古事記:天地開闢④ 伊耶那岐命

(5)古事記:天地開闢⑤ 伊邪那美命

(6)古事記:天地開闢⑥ 伊耶那美命の死と火之迦具土神

(7)古事記:天地開闢⑦伊耶那岐命の黄泉の国訪問

(8)古事記:天地開闢⑧禊祓と神々の誕生

(9)古事記:天地開闢⑨天照大神と須佐之男命の誓約

(10)古事記:天地開闢⑩天岩屋戸と高天ヶ原の神々

(11)古事記:天地開闢⑪五穀と須佐之男命の大蛇退治

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(12)古事記:出雲と天孫降臨①大国主神と稲羽の白兎

(13)古事記:出雲と天孫降臨②大国主神と八十神の迫害

(14)古事記:出雲と天孫降臨③大国主神の根の国訪問

(15)古事記:出雲と天孫降臨④大国主神の国作り

(16)古事記:出雲と天孫降臨⑤葦原中国の平定と建御雷神

(17)古事記:出雲と天孫降臨⑥事代主神の服従

(18)古事記:出雲と天孫降臨⑦建御名方神の反抗

(19)古事記:出雲と天孫降臨⑧大国主神の国譲りと出雲大社

(20)古事記:出雲と天孫降臨⑨天孫降臨と猿田毘古神

(21)古事記:出雲と天孫降臨⑩天照大神の神勅

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(22)古事記:高千穂と神々の闘い①木花之佐久夜毘売と石長比売

(23)古事記:高千穂と神々の闘い②木花之佐久夜毘売の出産

(24)古事記:高千穂と神々の闘い③海幸彦と山幸彦

 

本日の課題

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1 個のコメント

  • kyorintomo@yahoo.co.jp より:

    恨みや妬みを含んだ呪術は滅びの香りが漂って来るような気がしますが、「呪」とは物事を収めるべきところへ収めさせるひとつの方法なのかも知れません。

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