日本神話/(26)古事記:高千穂と神々の闘い⑤豊玉毘売の出産

山幸彦が兄を屈服させてから、しばらくたったある日、妻の豊玉毘売(とよたまびめ)が山幸彦の元を突然訪ねてきた。

「私は御子を身籠り、はや臨月を迎える時期になりました。しかし天孫の御子である貴方様の子を海原で生むことも出来ないので、こちらに出向いて参りました」

このように豊玉毘売が山幸彦に告げたので、慌てて産屋を造ることにした。

この時鵜の羽を葺草(かや)の代わりに使ったが、その葺草を葺(ふ)く最中に豊玉毘売の陣痛が始まってしまったので、造り途中の産屋で出産をすることになったが、豊玉毘売は山幸彦に「私の国では、子を産む時に本来の姿に戻って産みます。お願いですからその姿を見ないでください」と言って一人産屋に籠ったのであった。

しかし、山幸彦は妻の言葉を信用せず、産屋の中をこっそりと覗いてしまった。

すると中には大きなサメが苦しみのたうち回っていたので、流石の山幸彦も驚き後ずさる。

その大きなサメこそ豊玉毘売の本来の姿であった。

豊玉毘売は出産の姿を山幸彦に見られたと気づき、強く恥じてこう言った「海の道を行き来し、此処で御子を育てようと思いましたが、私の本来の姿を見られたからには、それも叶わなくなりました」

そして、産屋に御子を残して海と陸との境界を閉ざし、父のいる宮殿に帰ってしまった。

しかし、山幸彦や我が子を想う気持ちは変わらず募るばかり。

耐えられぬので我が子の養育者として妹の玉依毘売(たまよりびめ)を使わせた。

この山幸彦と豊玉毘売との間に生まれた御子の名が鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)という。

成長した鵜葺草葺不合命は叔母であり、育ての親の玉依毘売を娶ると、4柱の御子をもうけた。

その末子が若御毛沼命(わかみけぬのみこと)で、後に神武天皇となる神倭伊波礼毘古命(かむやまといわれびこのみこと)である。

鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)
鵜葺草葺不合命は、豊玉毘売と山幸彦の子で、天津日子日子波限建鵜葺草葺不合命(あまつひたかひこなぎさたけうかやふきあえずのみこと)の名前の由来は「渚に建てた鵜の羽の屋根を葺き終わる前に生まれた子」という意味です。叔母であり、育ての親でもある玉依媛毘売と結婚して四人の男児をもうけました。夫婦ともに「吾平山陵(あいらさんりょう)」に埋葬されたと日本書紀にあり、現在の鹿児島県鹿屋市に治定されています。

吾平山上陵

 

これまでの学び

(0)古事記:はじめに

(1)古事記:天地開闢① 天地の始まりと神様の誕生

(2)古事記:天地開闢② 別天津神と神世七代

(3)古事記:天地開闢③ 伊耶那岐命と伊耶那美命の国生みと神生み

(4)古事記:天地開闢④ 伊耶那岐命

(5)古事記:天地開闢⑤ 伊邪那美命

(6)古事記:天地開闢⑥ 伊耶那美命の死と火之迦具土神

(7)古事記:天地開闢⑦伊耶那岐命の黄泉の国訪問

(8)古事記:天地開闢⑧禊祓と神々の誕生

(9)古事記:天地開闢⑨天照大神と須佐之男命の誓約

(10)古事記:天地開闢⑩天岩屋戸と高天ヶ原の神々

(11)古事記:天地開闢⑪五穀と須佐之男命の大蛇退治

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(12)古事記:出雲と天孫降臨①大国主神と稲羽の白兎

(13)古事記:出雲と天孫降臨②大国主神と八十神の迫害

(14)古事記:出雲と天孫降臨③大国主神の根の国訪問

(15)古事記:出雲と天孫降臨④大国主神の国作り

(16)古事記:出雲と天孫降臨⑤葦原中国の平定と建御雷神

(17)古事記:出雲と天孫降臨⑥事代主神の服従

(18)古事記:出雲と天孫降臨⑦建御名方神の反抗

(19)古事記:出雲と天孫降臨⑧大国主神の国譲りと出雲大社

(20)古事記:出雲と天孫降臨⑨天孫降臨と猿田毘古神

(21)古事記:出雲と天孫降臨⑩天照大神の神勅

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(22)古事記:高千穂と神々の闘い①木花之佐久夜毘売と石長比売

(23)古事記:高千穂と神々の闘い②木花之佐久夜毘売の出産

(24)古事記:高千穂と神々の闘い③海幸彦と山幸彦

(25)古事記:高千穂と神々の闘い④火照命と火遠理命の争い

 

本日の課題

1:今回の学びで感じたことをシェアしてください。

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