日本神話/(24)古事記:高千穂と神々の闘い③海幸彦と山幸彦

木花之佐久夜毘売(このはなさくやひめ)が火中の産屋で生んだ長男火照命(ほでりのみこと:海幸彦)と三男の火遠理命(ほおりのみこと:山幸彦)の物語が始まる。

長男の海幸彦は漁師となり、海の魚を獲って暮らし、三男の山幸彦は狩人として毛の生えた動物を狩って暮らしていた。

ある時、山幸彦は兄である海幸彦に「各々の道具を交換して使ってみたい」と申し出た。

海幸彦はその申し出を三度断ったが、あまりしつこく言い寄られるので、海幸彦は道具の交換をしぶしぶだが許した。

こうして山幸彦は兄の釣り道具を使い、海幸彦は弟の狩猟道具を使う事にしたが、いつもとは勝手が違うので上手く獲物が獲れなかった。

しかも山幸彦は借りた兄の大事な釣り針を海中に落として失くしてしまったのである。

そのことを知らない海幸彦がやって来ると「やはり山の獲物を獲るには、山幸彦が狩りの道具を使う方がいい。そして海の魚を獲るには私が釣り具を使うのがよかろう」と言った。

山幸彦は兄に「釣りをしてみたが一匹も釣れず、兄の釣り針も無くしてしまいました」と申し訳なさそうに答えた。

海幸彦は大事な釣り針を失くした弟を責め、釣り具を返せと迫った。

山幸彦は釣り針を探したが、広い海の中では一向に見つからない。

仕方なく自分の十拳剣(とつかのけん)を壊して、釣り針を500個作り、兄の海幸彦の所へ詫びに行くことにした。

しかし、海幸彦は失くした釣り針を持って来いと500個の釣り針を受け取らず、山幸彦に突き返した。

そこで山幸彦は、さらに1000個の釣り針を作って兄に許しを請いに行ったが、この釣り針もまた受け取らず突き返されてしまった。

困り果てた山幸彦が海辺で泣いていると、潮流の神である塩椎神(しおつちのかみ)が偶然そこを通りかかり、泣いている訳を山幸彦に聞いた。

「なぜ天孫の子が泣いているのでしょうか?」

その声を聞き山幸彦は事情を話した。

すると塩椎神は「私がなんとかいたしましょう」と答えると、无間勝間(まなしかつま)の小舟(竹で隙間なく編んだ舟)を造り、山幸彦をその舟に乗せた。

そして塩椎神は予言をする。

「私がこの舟を押し流しますので、そのまま進んで下さい。そうすれば良い潮の流れに乗れます。その潮流に乗れば、魚の鱗を並べたような宮殿に着くでしょう。そこが海の神綿津見神(わだつみのかみ)の宮殿です。そして宮殿に着いたら門の傍に井戸と桂の木があるので、その桂の木に登って待てば、綿津見神の娘が見つけて問題も解決してくれましょうぞ」

山幸彦は塩椎神の言葉通りに、海神の宮殿に着くと、入口の井戸の横にある桂の木によじ登って待つことにした。

しばらくすると綿津見神の娘である豊玉毘売(とよたまびめ)の従女が玉の器を持って来た。

井戸の水を汲もうと井戸の中を覗いた時、水面が反射して光ったので従女が光りの差す方を仰ぎ見ると、高貴な麗しい青年の山幸彦が木の上に居た。

これには従女も大変驚き怪しんだ。

突然の来訪者のことを従女が豊玉毘売に告げ、入口に豊玉毘売がやって来ると、山幸彦のことを一目見て気に入ってしまった。

そして父である綿津見神にも引き合わせると「高貴な天孫の御子である」と言って丁重にもてなし、娘と結婚させることにした。

綿津見神の宮殿
綿津見神が住んでいるとされる宮殿は、古事記の記述によると潮の流れに乗って辿り着く海の彼方にある宮殿です。浦島太郎の竜宮城のようですが、竜宮城のように海中にあるとの記述はなく、遥か沖にある神の住まう理想郷とも考えられています。綿津見神は海神として農業や漁業の富をもたらすと言われ、現在も信仰篤い神様です。

 

これまでの学び

(0)古事記:はじめに

(1)古事記:天地開闢① 天地の始まりと神様の誕生

(2)古事記:天地開闢② 別天津神と神世七代

(3)古事記:天地開闢③ 伊耶那岐命と伊耶那美命の国生みと神生み

(4)古事記:天地開闢④ 伊耶那岐命

(5)古事記:天地開闢⑤ 伊邪那美命

(6)古事記:天地開闢⑥ 伊耶那美命の死と火之迦具土神

(7)古事記:天地開闢⑦伊耶那岐命の黄泉の国訪問

(8)古事記:天地開闢⑧禊祓と神々の誕生

(9)古事記:天地開闢⑨天照大神と須佐之男命の誓約

(10)古事記:天地開闢⑩天岩屋戸と高天ヶ原の神々

(11)古事記:天地開闢⑪五穀と須佐之男命の大蛇退治

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(12)古事記:出雲と天孫降臨①大国主神と稲羽の白兎

(13)古事記:出雲と天孫降臨②大国主神と八十神の迫害

(14)古事記:出雲と天孫降臨③大国主神の根の国訪問

(15)古事記:出雲と天孫降臨④大国主神の国作り

(16)古事記:出雲と天孫降臨⑤葦原中国の平定と建御雷神

(17)古事記:出雲と天孫降臨⑥事代主神の服従

(18)古事記:出雲と天孫降臨⑦建御名方神の反抗

(19)古事記:出雲と天孫降臨⑧大国主神の国譲りと出雲大社

(20)古事記:出雲と天孫降臨⑨天孫降臨と猿田毘古神

(21)古事記:出雲と天孫降臨⑩天照大神の神勅

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(22)古事記:高千穂と神々の闘い①木花之佐久夜毘売と石長比売

(23)古事記:高千穂と神々の闘い②木花之佐久夜毘売の出産

 

本日の課題

1:今回の学びで感じたことをシェアしてください。

1 個のコメント

  • kyorintomo@yahoo.co.jp より:

    海幸彦と山幸彦、有名なエピソードですね。
    道具を使いこなすには、それなりの知識と経験必要ですね。
    でも色々な意味で失敗しなければ分からないという事もたくさんあると思います。
    大切な釣り針をなくして、兄に真剣に謝罪し、解決策を誠実に求める姿は素晴らしいと感じました。

  • コメントを残す