(9)祭政一致を目指した神仏分離令

 

徳川が作り上げた江戸幕府が、幕末に揺らぎ始める前、実は「今の神道は仏教や儒教、道教の影響を受けているから、以前の日本民族固有の精神に立ち返るための神道に戻そう」という動きが始まっていました。

これを「神道復興運動」または「復古道」と言います。

これは、江戸時代末期の国学者・平田篤胤(ひらたあつたね)や、本居宣長(もとおりのりなが)らが言い出したもので、彼らは「古道」を提唱していました。

平田篤胤

本居宣長

 

古道とは、外来宗教の影響を受ける前から日本に存在していたとされる宗教のことで、いわゆる純粋な神道のことを指します。これを「原始神道」とも言います。

そして、平田篤胤や本居宣長らが提唱していた頃の神道を「古い神道」と書いて「古神道」と言います。

「古神道」とは呼ぶものの、実は江戸時代末期から明治初期くらいの神道のことで、その歴史はまだ新しいのです。

これは、現在の神道よりも古いといういう意味で、後に使われるようになった呼称です。

したがって、古くから日本に存在する純粋な「古道=古神道」と江戸時代末期あたりに提唱されていた「古道=古神道」を区別するために、ここでは前者を「原始神道」と呼び、後者を「古神道」と呼ぶことにします。

 

では、ここから「寺社」の話に入っていきましょう。

現在では殆ど見られなくなりましたが、実は江戸時代には、殆どの神社の境内にはお寺がありました。

浅草の「浅草寺」と「浅草神社」を見ても分かるように、当時は神社とお寺が同じ敷地にあったのです。

浅草神社

浅草寺

 

よく「寺社」という言葉が使われますが、寺社とは寺院と神社の総称で、「神社仏閣」とも呼ばれます。

これは、神社(神)もお寺(仏)も信仰の対象としては変わりがないので、区別する必要がないという考えから、当時は神社とお寺は一緒に扱われていたのです。

なので、当時は宮司が僧侶と一緒にお寺の行事に参加したり、逆に、僧侶が宮司と一緒に神社の神事に参加していました。さらに、小さな寺社になると宮司と僧侶を一人で兼ねている場合も多々ありました。

このように神社とお寺は一緒にになった寺社の文化は江戸末期まで続いていましたが、明治に入り、明治新政府が国家神道を作るときに仏教が邪魔になったのです。

そこで政府は「神仏分離令=神仏判然令」を出し、一体化していた神社とお寺を強制的に分離させてしまいます。

それまでは、「神仏」というように、神と仏を同じとして扱っていましたので、神道と仏教が融合し、一つの信仰体系とされていて、これが1000年以上にわたって続いていました。これを「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」または「神仏混淆(しんぶつこんこう)」と言います。

 

そう、日本はもともと神仏習合の長い歴史を持っていたのですが、先述したように明治新政府が国家神道を起ち上げる際に、仏教が妨げになったため、神仏習合という慣習を禁止し、神道(神)と仏教(仏)、神社とお寺をハッキリと区別させたのです。

政府は、この神仏分離令で、神社とお院を分離し、それぞれを独立させ、神社に奉仕していた僧侶には俗人(一般人)に戻ることを命じたり、神に仏具を供えることや、御神体を仏像とすることも禁じました。

ではなぜ、明治新政府は、これを行ったかというと「王政復古」のためです。

王政復古とは、君主(天皇など)によって統治された国家の権力(君主制)が、争いなどによって、一度は弱まったり、廃止されるなどしても、後に何らかの理由で、復活する(させる)現象のことです。

要するに、もともと古くから日本は、天皇によって統治されていたましたが、武家政権の誕生によって、天皇の力が弱まり(一時復活することもあった)、政治を行う実権も無くしていたため、再び天皇に政治を行う実権を与えるためにこれを行ったのです。

一言でいうなら「祭政一致」実現のために、これを行ったということになります。

 

2 件のコメント

  • du0nc3rbun@gmail.com より:

    時の権力者たちが実験を握る際に、先ずはその国の信仰となる対象を歪めようとする動きは万国共通なんですね。
    そして古神道の歴史がまだ新しいという事は、とても驚きでした!

    原始神道というのがあるというのは分かっていましたし、古神道よりも古いんだろうな、というのは最初から知っていたのですが。
    現在の神道(国家神道)と区別するためだったんですね!

    大事な事なので肝に銘じておきます。

  • kyorintomo@yahoo.co.jp より:

    自分達の利益のためなら何をしてもよいという考え方は、ひどく不細工に見えます。その醜さを隠し黒いものを白く見せるための王政復古と祭政一致か・・

  • コメントを残す