(13)ユダヤ人が成功する理由【失われたイスラエルの十支族④】

モーセとヘブル人一行は、40年間シナイ半島を彷徨い続けます。

約束の地カナンに直ぐに入ることを神は許しませんでした。

なぜなら、ヘブル人の神ヤハウェ信仰は、まだ不安定だったからです。

シナイ半島の荒野

神はヘブル人から奴隷根性を抜けさせるため、そしてモーセと強固な絆で結ばれるための試練を与えたのです。

 

ようやくモーセとヘブル人一行はヨルダン川東岸に辿り着き、そこからは約束の地カナンが一望出来ました。

対岸にカナンを見下ろす山でモーセは生涯を終えます。(この時モーセは120歳だったと言われています)

自分が約束の地カナンに入れないことを神に告げられたモーセは、この世を去る前に後継者としてヨシュアを任命します。

ヘブル人一行の新しいリーダーはヨシュアに代わり、いよいよヨシュアがヘブル人を率いてカナンを奪いに行くことになります。

奪いに行くとはどういうことか?

 

ヘブル人にとっては、カナンは神から与えられた約束の地ですが、しかし、そこにはカナン人という先住民が住んでいました。

当時のカナンは農作物に恵まれた豊かな土地で、城壁があり、分割された都市国家で、それぞれの王が支配していました。

カナンを征服するには、まずヨルダン川を渡り、対岸のエリコという町を制圧する必要がありました。

エリコを攻撃する前、ヨシュアはその軍事力を知るために2人のスパイを送ります。

奇跡を起こしエジプト軍を追い払ったヘブル人は、エリコでも噂になっていました。

エリコは防御が固くてスパイすら中にはなかなか入れず、情報を得るのが難しかったとされます。

頑丈な城壁で囲まれ、難攻不落の町としても知られ、さらにヘブル人の攻撃に備えて更に城門を固く閉ざしていたのです。

それでも何とか城内に入り込んだ2人ですが、すぐにエリコ王の追っ手に追われることになります。

その危機を救ったのが娼婦のラハブです。

娼婦ラハブとヘブル人スパイ

城壁に住む娼婦ラハブは、城壁の窓からロープで2人を吊り降ろして逃がします。

このとき、壁の構造やエリコの様子をスパイに詳しく教えたとされます。

無事に戻った2人のスパイから報告を受けたヨシュアは、ヨルダン川を渡ってエリコに攻め込む決意をします。

契約の箱アークを7人のレビ(祭司)が担いで川に入ると、川が割れ、流れの止まった川道ができたといいます。

そう、モーセが海を割って、紅海を渡った時の奇跡と同じことがヨルダン川でも起きたのです。

ヨルダン川を渡り終えたヨシュアたちは、ある不思議な人物に出会います。

この人物はヨシュアに二重の城壁に囲まれたエリコを攻略するための秘策を授けたのです。

「無理に攻め込まなくてもエリコの城壁は崩れ落ちる」と・・・ヨシュアは、この秘策を神の啓示だと受けて実行することになります。

その秘策とは…毎日6日間、契約の箱を担いだ7人のレビが角笛を吹き鳴らしながら、その他のヘブル軍たちと静かにエリコの城壁の周りを一回りすることでした。

そして7日目には7周し、それが終ったら角笛を長く吹き鳴らすことでした。

すると、エリコの城壁は崩れ落ち、待ち構えていたヘブル軍は突入し、神の作戦通りエリコは壊滅したのでした。

 

因みに、ヨシュア軍がエリコを攻めた時、娼婦ラハブは家の壁に目印として赤い布を垂らしていたため助けられました。

その後、ラハブはヘブル人と結婚することになりますが、その相手はスパイの1人だと伝えられています。

 

6日間は全く戦うことなく、ただ静かに角笛を吹きながら城壁の周りを回るという行為は、軍事的に敵を心理的に追い詰める戦術だったと考えられます。

モサドについて
イスラエルの諜報機関「モサド」が世界最強の情報組織とされるのは、こうしたことが背景にあるからだと考えられます。

神に守られ、エジプトからも逃れ、ヨルダン川を大軍で渡ってきたヘブル軍の姿はエリコ軍にとってはとても奇妙で、いつ攻撃が始まるのか?と緊張と不安の日々が続き、攻められた時には精神的にも体力的にも弱っていたと考えられます。

 

さて、エリコで勝利をおさめたヨシュアは、次にカナンのもう1つの大都市であるアイを攻め込むことになります。

アイもエリコと同じで城壁を構えた町でしたが、難攻不落のエリコに比べ、倒すのがそれほど難しくはないと考えられていました。

ところが、イスラエル軍はアイに負け、多くの戦死者を出しました。

敗北感に打ちのめされたヨシュアは神に問いかけました。

すると…神からは次の言葉がありました。

  1.  難攻不落のエリコを制圧して慢心していたため。
  2.  ヘブル軍の中に神の約束を破り、戦利品を私物化している者がいるため。

エリコに勝利した後、神はヘブル人に、「敵の財産を私物化しないこと。全てを神に捧げるため焼きつくせ。」と伝えています。

これを破ったのがユダ族のある1人でした。

モーセの十戒の一つに「盗んではならない」とありますが、この戒律を守らなかったのです。

盗んだ彼とその家族は処刑され、ヨシュアは再びアイを攻め込み、今度は無事に勝利することができました。

ヨシュアに率いられたヘブル人は、エリコとアイを倒した後も攻撃を続け、ついにカナンの地を手に入れ、奪い取ったカナンの地を12の支族に分配したのでした。

イスラエル12支族の紋章

 

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