シャバットに火事が起こった時には、家財を安全な場所に移そうとしてはいけない。
しかし、シャバットに必要なものは全て守ってよい。
近隣の住民がシャバットのために必要とするものを得るためであれば、これを守ることも許される。
トーラーの本もまた守ることが許される。
タルムードに記されているこの禁止の理由は、アダム・バフル・アル・マモノ、すなわち男性が彼の財産(を失うこと)についてパニックになることです。
この理論的根拠のもっとも単純な理解は、賢人たちが、財産を守ることに気を取られることと火事のパニックの中で、私たちがシャバットのことをすっかり忘れて火を消してしまうことを懸念したというものです。
最大の懸念は、火を消すことでシャバットを汚してしまうことなのです。
より微妙な理解としては、賢人たちはパニックの結果(言わばシャバットの潜在的な冒涜)だけを心配したのではなく、パニック自体をも心配したというふうに見ることができます。
シャバットは休息と完成の日であり、パニックと警報の日ではないのです。

物質的な所有物についての取り付かれたような心配自体がシャバットの精神に対する冒涜であり、これこそが賢人たちが和らげようとしたものです。
関連する問題は、パニックの元となる所有物に対する心配です。
賢人たちは、シャバットに必要なものであればこれを救い出すことを許しており、またシャバットに必要なものを他の人に与えるためであればこれを許しています。
トーラーの書物も、ミツバの目的のためにあるものですから、これもまた守られます。
所有物が気になってシャバットに注意を払うことが疎かになってしまっては、本末転倒です。
私たちは、物を所有するのはため込むためではなく、神に仕えるため、他の人を助けるためであることを覚えておく必要があります。
火事に際して、人に与えるための物、ミツバに必要な物を守ることが許されているということを基礎として、私たちは富の正しい使い方を思い出すことができ、正しい目的のために富を蓄積するのです。
本日の課題
1:今回の学びで感じたことをシェアしてください。
これまでの「タルムードと神道」の学び
タルムードと神道(30):ペスーケイ・デズィムラ(祈りの儀式を始める詩編)
タルムードと神道(41):ケドゥーシャ・ディシドラとアレイヌ
タルムードと神道(45):トーラーの巻物を書くこと、トーラーの本を得ること
タルムードと神道(79):特別な助けに対する感謝とその助けを求めること
タルムードと神道(84):融資におけるパートナーシップ上の許容
タルムードと神道(91):シャバットに非ユダヤ人によって為された仕事
タルムードと神道(97):預言書の一部を読むこと(ハフタラー)
「財産を守るよりもシャバットを優先する」という考え方がユダヤ人がいかにシャバットを第一に思っているのか分かります。清々しいほどに強い意識ですね。