私たちはシャバットには、身体全体をお湯に浸けてはならず、蒸し風呂に入ってもならない。
しかし、ティベリアの天然温泉に浸かることは許される。
この禁止事項の理由は、そのように身体を洗うことが許されたならばシャバットに水を熱したいという強い誘惑が生まれるからです。
ティベリアの温泉
いくつかの他の例においても、ティベリアの温泉は例外的に許容されています。
たとえば、この温泉でシャバットに料理をすることはトーラーの禁止事項ではありません。
同様に、乳と肉をここで調理することも可能です。
こうした許容の裏にはどのような精神的な現実があるのでしょうか。
ティベリアの温泉を温めているのは何だと言うのでしょうか。
トーラーは、ノアの洪水は天からの雨と、地上の「大いなる淵の源は、ことごとく」破れたことによって起きたとしています。
賢人たちはこれについて、身を焦がすような情熱に身を任せるという罪を犯した人間への罰として、身を焦がすような熱い水が噴き出して人類を呑み込んだのだと教えています。
これは、タルムードがこれらの水が地獄門を通って噴き出したと考えていることを思い出させます。
ここには、私たちの度を越した情熱に対するしっぺ返しとして、地獄の炎によって罰せられたのだというメッセージがあります。
裁きに当たって自分たちの行いを神の光に照らして考えるならば、私たちは自身を堕落させたのと同じ情熱によって苦しむのだとさえ言えるでしょう。
洪水が収まった時、トーラーは主が「大いなる淵の源」を塞がれたと言っていますが、その全てを塞いだとは言っていません。
三つの源泉が塞がれずに残り、そのうちの一つがティベリアの温泉なのです。
つまり、ティベリアの温泉は天罰の炎によって熱せられているのです。
しかし、その水は癒しと楽しみのために使われています。

私たちを罰したのと同じ炎が私たちを利するということは、情熱を持つことは悪いことばかりではないということを示しています。
トーラーは、その創造が一段階終わる毎に、その成果物を確認されて「良し」とされたと説明しています。
全ての創造のわざを終えられた時は、「はなはだ良かった」だったと言います。
ミドラッシュでは、このように最上級が使われていることの意味を次のように理解しています。
「良い、とは、正しい衝動である。はなはだ(良い)とは、邪な衝動である」
「邪な」と言われている私たちの物質的な性質は、それが正しく用いられなかった時のみ「邪な」ものになるのです。
私たちが物質的な性質を支配し、これを制御すれば、これは力とモチベーションの源となります。
このように考えて行けば、温泉から利益を得ることがごく当然であることがよく分かります。
しかしまだ、この熱源がなぜ料理やシャバットなどにおける本当の「火」と考えられないのか、説明する必要があります。
「シャバットに禁じられている労働」で、火はしばしば私たちの性格を変容させる力を持つ純粋で精神的な情熱を表すことを説明しました。
他の種類の熱や調理は、温かい気持ちにはなるけれども本当の意味で私たちの性格を良い方向に作り上げることはできないような、より程度の低い熱中を表します。
同じ例えがこのケースにも当てはまります。
私たちはある程度までは、神に仕えることに自分の低位の衝動を活用することができますが、これらの衝動は本当の精神的な情熱のためのエンジンにはなりません。
そのような火では、精神的な修繕には全く効果がないでしょう。
賢人たちはエルサレムには温泉が無いと言います。
もしあったとすれば聖地に巡礼する際に人々は心に留めたでしょうから。
適度に情熱のままに行動することから得られる温かな気持ちは忌むべきことではないですが、しかし時には純粋な主への献身を優先しなければなりません。
シャバットに禁じられている労働は平日の世界の修繕のための仕事なのですから、内なる熱情を燃やすことではなく、感覚のままに振る舞うことから得られる温かな気持ちを表すティベリアの温泉が、シャバットの法で禁じられる火とは考えられないのはもっともなことです。
本日の課題
1:今回の学びで感じたことをシェアしてください。
これまでの「タルムードと神道」の学び
タルムードと神道(30):ペスーケイ・デズィムラ(祈りの儀式を始める詩編)
タルムードと神道(41):ケドゥーシャ・ディシドラとアレイヌ
タルムードと神道(45):トーラーの巻物を書くこと、トーラーの本を得ること
タルムードと神道(79):特別な助けに対する感謝とその助けを求めること
タルムードと神道(84):融資におけるパートナーシップ上の許容
タルムードと神道(91):シャバットに非ユダヤ人によって為された仕事
タルムードと神道(97):預言書の一部を読むこと(ハフタラー)
タルムードと神道(99・100):運ぶというメラハーと四つのシャバットの領域
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